■■ 解説(6項−第126条7項) ■■(»全体表示)
(1)趣旨
補正によって新たな拒絶理由が生じることを防ぐためである。
【補足1】特許請求の範囲の限定的減縮を目的とする補正(»本条5項2号)は、本項(いわゆる独立特許要件)に違反すると却下される(»第53条、第159条1項−第53条、第163条1項−第53条)ので、補正によって新たな拒絶理由が生じることが防がれる(最後の拒絶理由通知が文字通り最後の拒絶理由通知となる)。なお、補正によって生じたもの以外の新たな拒絶理由が発見されても独立特許要件違反によって補正は却下されることになるが、特許出願の審査の場合であれば、拒絶理由通知をすることなく(»第50条ただし書)拒絶査定がされたとしても、拒絶査定不服審判の請求時に補正をできるので問題とはならないが、拒絶査定不服審判の場合であれば、拒絶理由通知をすることなく拒絶審決がされると、もはや補正をする機会はないので、拒絶理由通知をして意見書を提出する機会(補正をする機会)を与えなければ違法となる(»判例)。
【補足2】請求項の削除や誤記の訂正を目的とする補正(»本条5項1号・3号)は、新たな拒絶理由が生じる可能性はないので、また、拒絶理由通知において指摘された明りょうでない記載の釈明を目的とする補正(»本条5項4号)は、新規事項の追加となると却下されることになり(»第53条、第159条1項−第53条、第163条1項−第53条)、やはり新たな拒絶理由が生じる可能性はないので、いずれの補正にも独立特許要件は課されていない。
(2)解釈
(2.1)「訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるもの」
補正後における明細書、特許請求の範囲、図面によって特許出願の際に特許出願をしたと仮定した場合に拒絶理由がないことである。