■■ 解説(3項前段) ■■(»全体表示)
(1)趣旨
複数の請求項を訂正する場合に(特許全体としてではなく)請求項ごとに訂正の許否の審決をしてもらうことによって共倒れ(訂正が適法である請求項についても訂正が不適法である請求項とともに一体として訂正を拒絶されること)を防ぐためである。
【補足1】以前は請求項ごとに訂正の許否の審決がされることはなかったが、訂正の請求については請求項ごとに訂正の許否の審決をできることが明らかになった(»判例)ことから、平成23年の法改正によって訂正の請求を請求項ごとにできることが明文化され、同様に訂正審判の請求についても請求項ごとにできることとされた。そして、請求項ごとに請求の有無や訂正の許否が異なれば、請求項ごとに明細書、特許請求の範囲、図面(どの時点のものであるか)が異なるという事態が生じることとなったが、請求項ごとに特許権があるものとみなされる(»第185条)ことからすれば、違和感はない。
【補足2】通常は請求項ごとに訂正審判を請求する必要性は低いが、特許権の侵害に係る訴訟を提起した場合に無効の抗弁に対する訂正の再抗弁として訂正審判を請求する場合は、訂正の請求と同様の状況であるので、無効を主張された請求項ごとに訂正審判を請求することになる。
(2)解釈
(2.1)「請求項ごとに第1項の規定による請求をする」
請求項(複数でもよい)を特定して訂正審判を請求することである。