■■ 解説(5項 ■■»全体表示

(1)趣旨

(1.)新規事項の追加の禁止

 第三者が不測の不利益を受けることを防ぐためである。

 補足訂正(誤記や誤訳の訂正を除く)における新規事項の追加の禁止は、訂正をする直前の明細書、特許請求の範囲、図面が基準となるので、補正における新規事項の追加の禁止»7条の2第3項)とは基準が異なる»判例)。

(1.(同項ただし書第2号に掲げる事項を目的とする訂正の場合にあっては、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(外国語書面出願に係る特許にあっては、外国語書面))

 願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲、図面を基準としなければ誤記(例えば、先の訂正における誤植)を訂正できない場合があるからであり、また、外国語書面を基準としなければ誤訳を訂正できないからである。

(2)解釈

 特許出願時における当業者の技術常識を参酌すれば訂正をする直前の明細書、特許請求の範囲、図面(誤記の訂正にあっては、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲、図面、誤訳の訂正にあっては、外国語書面)の記載から自明な事項の範囲内である»判例1判例2判例3判例4判例5判例6判例7判例8判例9判例判例)。

 補足訂正の効果は特許出願時まで遡及する(»128条)ので、参酌できる当業者の技術常識は補正における新規事項の追加の禁止と同様に特許出願時におけるものとなる。