■■ 解説(1項)■■(»全体表示)
(1)解釈
(1.1)「経済産業省令で定める外国語」
英語である(»国際出願法施行規則12条)。 |
(2)その他
(2.1)願書の様式
国際出願法施行規則16条1項に従って特許庁が定めている。 【補足1】願書には指定国(国際出願に基づいて発明の保護を求める国として指定するPCTの締約国)を記載しなければならない(»PCT4条(1)(A))が、PCTの締約国のすべてが(みなし全指定によって)当然に指定国となる(»PCT規則4.9(a)(@))。ただし、日本、ドイツ、韓国については、優先権の主張を伴う国際出願をする場合に先の出願によって発生した国内優先権による先の出願のみなし取下げを回避する(すなわち、先の出願から乗り換えない)ためであれば、指定国から除外することができる(»PCT規則4.9(b))。なお、その他の不要な指定国については、指定国の指定を取り下げることもできるが、単にその国の国内段階に移行しなければよく、国内段階に移行できる期間が経過すれば、その国における国際出願の効果は取下げと同一の効果をもって消滅する(»PCT24条(1)(B))。 【補足2】日本において新規性の喪失の例外の規定(»特許法30条2項)の適用を受けたい場合は、そのための手続を日本の国内段階においてすることができる(»特許法184条の14)。 【補足3】国際出願には、手数料が必要である(»第18条2項)。なお、国際出願が特許庁に到達した日から1月以内に納付しなければ、手数料の納付の補正を命じられ(»国際出願法施行規則31条の2)、命令日から1月以内に納付しなければ、国際出願はみなし取下げとなる(»第7条2号)。 |
(2.2)明細書の様式
(2.3)請求の範囲の様式
国際出願法施行規則18条2項に規定されている。 【補足】請求の範囲は(請求項のように番号を付すことによって)複数とすることができる。なお、複数の発明を請求の範囲に記載する場合は、異なる請求の範囲に記載するか同一の請求の範囲に択一形式で記載するかを問わず、発明の単一性の要件を満たさなければならない(»国際出願法施行規則13条、PCT規則13.1〜同13.3)。発明の単一性の要件を満たさない場合は、国際調査においては追加の手数料の納付を命じられることになり(»第8条4項)、国際予備審査においては請求の範囲の減縮や追加の手数料の納付を命じられることになる(»第12条3項)。 |
(2.4)図面の様式
国際出願法施行規則19条に規定されている。 |
(2.5)要約書の様式
国際出願法施行規則20条2項に規定されている。 【補足】要約書の記載要件(»国際出願法施行規則20条1項)を満たしていない場合は、国際調査において新たな要約書が作成される(»国際出願法施行規則47条)。 |
(2.6)優先権の主張
先の出願(その発明にとっての第一国出願)によって優先権(国内優先権を含む)が発生している発明については、優先権の主張を伴って国際出願をすることができる(»PCT8条、PCT規則4.10)。 【補足1】優先日は本来は優先権の主張の基礎となる出願(優先権を発生させた出願)の日のことであるが、PCT、PCT規則、国際出願法施行規則において多くの期間の初日として規定されている「優先日」については、次のPCTによる定義に従う(»PCT2条(xi)、国際出願法施行規則21条1項)。 【補足2】優先権の主張は、国際出願の願書に記載することによって国際出願と同時に行うことができる(»国際出願法施行規則15条4号)ほか、国際出願をした後の次のいずれか遅い日までに追加することもできる(»国際出願法施行規則27条の2)。なお、国際出願は、正当な理由によって優先期間の経過後2月以内に追完できる場合(»国際出願法施行規則28条の3、同28条の4)を除き、優先期間内(優先日から1年以内)にしなければならない。 【補足3】優先権の主張は、優先権の主張を追加できる期間と同一の期間内に補正をすることができる(»国際出願法施行規則27条の2)。また、願書における優先権の主張に係る記載事項に不備や優先権書類の記載事項との不一致があれば、補正を命じられ、補正をできる期間内に補正をしなければ、補正の事由が優先権の主張の基礎となる出願の番号の不記載である場合や優先権書類の記載事項との不一致である場合を除き、その優先権の主張は初めからなかったものとみなす旨の通知がされる(»国際出願法施行規則28条)。ただし、通知前であって補正をできる期間の経過後1月以内に補正をすれば、補正をできる期間内に補正をしたものとみなされる(»国際出願法施行規則28条の2)。 【補足4】国際段階において優先権の証明(優先権書類の提出)をしておきたい場合は、優先日から1年4月以内にすることができる(»国際出願法施行規則21条)。なお、優先権の主張の基礎となる出願が日本の国内出願(特許出願や実用新案登録出願)や日本の特許庁を受理官庁とする国際出願の場合の国際事務局への優先権書類の送付の請求には、手数料が必要である(»国際出願法施行規則82条表1)。 【補足5】優先権の主張の基礎となる出願が日本の国内出願(特許出願や実用新案登録出願)や日本の特許庁を受理官庁とする国際出願の場合は、それらの調査(特許出願の審査、実用新案技術評価、国際調査)の結果(先の調査の結果)の相当部分を国際調査報告の作成に利用できた場合(利用の有無の通知が国際調査報告とともに出願人に送付される)は、出願人から請求があれば、調査手数料の一部が返還される(»国際出願法施行規則50条)。ただし、日本の国内出願の調査の結果を先の調査の結果として国際調査において考慮されるためには、願書にそのことを希望する旨を記載する(»国際出願法施行規則15条6号)とともに(みなし取下げを回避するために)日本を指定国から除外することが必要であり、さらに、遅くとも国際調査の開始と同時に審査や実用新案技術評価を開始できるように審査や実用新案技術評価の請求をできるだけ早期にしておくことも必要である。なお、先の調査の結果は優先権の主張の基礎となる出願のものに限られないので、同一の日本の国内出願を基礎とする優先権の主張を伴う国内出願と国際出願をして(国内出願を国際出願より先にする)、その国内出願の調査の結果を先の調査の結果として国際調査において考慮されることを希望することもできる。 |
(2.7)国際出願、指定国の指定、優先権の主張の取下げ
国際出願、指定国の指定、優先権の主張は、優先日から2年6月以内に取り下げることができる(»国際出願法施行規則36条1項)。ただし、すでに国内段階における処理が可能となっている指定国や選択国については、取下げは行われなかったものとみなされる(»国際出願法施行規則36条2項)。 【補足1】国際公開を回避するために国際出願を取り下げる場合は、国際公開の技術的な準備が完了する前に国際事務局に到達しなければならない(»PCT規則90の2.1(c))ので、国際公開の時期が近ければ、国際事務局に直接に行う必要がある。 【補足2】優先権の主張の取下げによって初日に変更が生じる期間は、変更前の初日から起算してまだ満了していないものに限られる(»PCT規則90の2.3(d))。ただし、国際事務局は、優先権の主張の取下げが国際公開前であっても国際公開の技術的な準備が完了した後に国際事務局に到達すれば、変更前の初日から起算して国際公開を行うことができる(»PCT規則90の2.3(e))。 【補足3】国際出願、指定国の指定、優先権の主張の取下げは、それぞれ「国際出願取下書」、「指定国の指定取下書」、「優先権の主張取下書」を提出することによって行う(»国際出願法施行規則36条3項)。 |