■■ 解説(4項2号) ■■(»全体表示)
(1)趣旨
特許を受けようとする者にあらかじめ審査(主として進歩性の有無の判断)への協力をさせるためである。
【補足1】この要件(いわゆる先行技術文献情報開示要件)は、特許を受けようとする者に特許出願前の先行技術調査を義務付けるものではない。
【補足2】先行技術文献情報開示要件違反は、先行技術文献情報開示要件違反の通知(»第48条の7)をしても解消しない場合に特許出願の拒絶理由となる(»第49条5号)が、特許の取消理由や無効理由とはならない。したがって、先行技術文献情報開示要件違反の通知や拒絶理由通知を受けてから補正によって先行技術文献情報を追加すれば足りるのである(先行技術文献情報の追加は新規事項を追加する補正ではない)が、先行技術文献情報を知っている場合は当初から誠実に開示して審査を受けたほうが、進歩性の有無を適切に判断されて、後に争いが生じるおそれを少なくすることができる。なお、先行技術文献情報を全く知らない場合は、その理由を記載しておくと、先行技術文献情報開示要件違反の通知はされない(»特許庁「特許・実用新案審査基準」第U部第1章第3節2.2.3)。