■■ 解説(5項 ■■»全体表示

(1)趣旨

 近年のコンピュータとインターネットの普及によって、優先権書類に記載されている事項(いわゆる優先権書類データ)を電子化してオンラインで容易にやりとり(いわゆる電子的交換)できるようになったからである。

(2)解釈

(2.第2項に規定する書類に記載されている事項を電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう)によりパリ条約の同盟国の政府又は工業所有権に関する国際機関との間で交換することができる場合として経済産業省令で定める場合において、第1項の規定による優先権の主張をした者が、第2項に規定する期間内に、出願の番号その他の当該事項を交換するために必要な事項として経済産業省令で定める事項を記載した書面を特許庁長官に提出したとき

 次の場合(優先権書類データの電子的交換ができる場合»特許法施行規則7条の3の3第2項)に優先権書類の提出に代えて次の事項»特許法施行規則7条の3の3第3項)を願書や優先権主張書面に記載すること»特許法施行規則7条の4第5項である。
 @第一国出願を韓国や欧州特許庁にした場合(台湾も可)にあっては、第一国出願の番号
 A第二国出願を欧州特許庁にした場合であって優先権書類と同一の書類を欧州特許庁に提出した場合にあっては、第一国出願の番号、優先権書類データの提供機関(欧州特許庁、優先権書類データの提供機関にした出願の番号(欧州特許出願の番号)
 B第二国出願を欧州特許庁にした場合であって次のいずれかの国や国際機関から優先権書類データが欧州特許庁に提供された場合にあっては、第一国出願の番号、優先権書類データの提供機関(欧州特許庁、優先権書類データの提供機関にした出願の番号(欧州特許出願の番号)
 a.第一国出願をした国
 b.米国
 c.世界知的所有権機関
 d.上記a〜c以外の欧州特許庁と優先権書類データの電子的交換ができる国や国際機関

 C第一国出願をした国(例えば、米国)に優先権書類データの電子的交換による日本への提供(のためのアクセスコードの発行)の申出をした場合にあっては、第一国出願の番号、第一国出願の区分(特許であるか実用新案であるか、アクセスコード、優先権書類データの提供国

 D第二国出願をした国(パリ条約の同盟国に限る)に優先権書類データの電子的交換による世界知的所有権機関を通じた日本への提供(のためのアクセスコードの発行)の申出をした場合にあっては、第一国出願の番号、第一国出願の区分(特許であるか実用新案であるか、アクセスコード、優先権書類データの提供機関(世界知的所有権機関)

 補足1願書や優先権主張書面を提出済みの場合は、補正によって記載を追加すればよい。

 補足2アクセスコードは、世界知的所有権機関のデジタルアクセスサービス(DAS)を利用するために必要となる数字である(すなわち、上記CやDのいずれもDASを介して優先権書類データの電子的交換が行われる