■■ 解説(1項) ■■(»全体表示)
(1)趣旨
(1.1)「これらの者の承諾を得た場合に限り」
それらの者が特許権の消滅に伴う自己の権利の消滅によって不測の不利益を受けることを防ぐためである。
【補足1】特許料の不納によっても特許権を消滅させることができ(»第112条4項〜6項)、また、請求項を削除する訂正によって特許権を遡及的に消滅させる(初めからなかった)こともできる(»第128条)ので、特許権の消滅を阻止して自己の権利を維持するためには、放棄を承諾しないだけでは足りず、特許料を自ら納付することや訂正を承諾(»第127条)しないことも必要となる。
【補足2】以前は通常実施権者(職務発明について使用者に発生する法定実施権以外の法定実施権者と裁定実施権者を除く)の承諾も必要であったが、令和3年の法改正(令和4年4月1日施行)によって不要となった(施行日以後に特許権の抹消の登録の申請をする場合に適用される)。
(2)その他
(2.1)放棄の方式
特許権の抹消の登録をすることによって行う。
【補足】請求項が複数ある場合は、請求項ごとに放棄することができる(»第185条)。
(2.2)承諾を得たことの証明
登録の申請をする際に書面によって証明しなければならない(»特許登録令29条1項2号)。