■■ 解説(3項 ■■»全体表示

(1)趣旨

 特許の無効理由が冒認出願や共同出願違反である場合に無効の抗弁をできる者が特許無効審判を請求できる者»123条2項)と同様に取戻請求権»4条)を有する者(特許を受ける権利を有する者)に限られることになると、それ以外の被告は、特許に無効理由があるにもかかわらず、特許権や専用実施権の行使を免れることができなくなるからである。

 補足無効の抗弁であれば、特許が無効となって取戻請求権を行使できなくなることはないので、取戻請求権を有する者に不利益は生じない。なお、取戻請求権が行使されて特許権が取戻請求権を有する者に初めから帰属していたものとみなされると、冒認出願や共同出願違反は初めからなかったことになるので、冒認出願や共同出願違反無効理由とする無効の抗弁によって特許権や専用実施権の行使を免れることができるのは、取戻請求権が行使されない場合に限られる