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(1)趣旨

 当事者系審判においては、対立する当事者や参加人の主張から争点を把握するためには、口頭によって即時にやりとりができる口頭審理が書面審理よりも適しているからである。

(2)解釈

(2.「口頭審理」

 当事者や参加人による陳述を口頭によって行わせることである。

 補足1審尋も口頭によって行われ»特許法施行規則2条の2、また、その他の書面によって行うことを要しない手続(例えば、補正許否の決定、無効理由通知、次回の期日の呼出し、審理終結通知)をする場合も口頭(告知)によって行われる»特許庁「審判便覧」3−

 補足2当事者や参加人が書面によって陳述した事項は、あらためて口頭によって陳述しなくても、有効に陳述されたものとして審理の対象となる»特許庁「審判便覧」3−。したがって、審理の方式としては、口頭審理か書面審理かの二者択一なのではなく、書面審理を基本としながら口頭審理も行うか否かということになる。

(3)その他

(3.1)面接

 口頭審理に類似するものとして面接がある»特許庁「面接ガイドライン審判編。面接は、法令上の制度ではなく特許庁の運用上の制度であり、面談によって当事者と合議体の意思の疎通を図って審理を促進させるために(実際には口頭審理の代用や補完として、当事者や合議体の要請によって行われる。面接には、面会によるもの(地方での面会も可能)とテレビ会議システムによるものがあり、面接が行われた場合は、面接記録が作成され(面接記録用紙に面接でのやりとりが具体的に記載される、当事者が面接に用いた資料や当事者の代理人が出席した場合の委任状とともに審判記録の一部となる。また、電話やファクシミリによる意思の疎通も面接に準じて可能であり(電子メールは不可、その場合には応対記録が作成される。