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(1)解釈

(1.証拠調

 証拠方法を取り調べて証拠資料を得ることである

 補足1証拠方法や証拠資料を単に証拠という場合も多い。

 補足2証拠調べは、証拠方法の種類によって、次の5つに分類される。
 @証人尋問(人的証拠である証人が証拠方法であり、その証言が証拠資料となる)
 A当事者尋問(人的証拠である当事者本人が証拠方法であり、その供述が証拠資料となる)
 B鑑定(人的証拠である鑑定人が証拠方法であり、その意見が証拠資料となる)
 C書証(物的証拠である文書
や準文書
»151条−民事訴訟法231条が証拠方法であり、その記載や記録が証拠資料となる)
 D検証(物的証拠である検証物が証拠方法であり、検証の結果が証拠資料となる)

 補足3証拠調べは、通常は口頭審理とともに審判廷において行われる»特許庁「審判便覧」7−、同5−

(2)その他

(2.1)証拠調べの申立ての方式

 「証拠申出書」を提出する»特許法施行規則7条の3)とともに、次のようにして行う。
 @証人尋問にあっては「証人尋問申出書»特許法施行規則8条)と「尋問事項書»特許法施行規則8条の2)を提出する。
 A当事者尋問にあっては「当事者尋問申出書
»特許法施行規則9条の2−同8条)と「尋問事項書»特許法施行規則9条の2−同8条の2)を提出する。
 B鑑定にあっては「鑑定申出書」と「鑑定事項書
»特許法施行規則0条)を提出する。
 C書証にあっては、文書
を自ら提出したり、文書提出命令の申立て»151条−民事訴訟法219条)や文書送付の嘱託の申立て»151条−民事訴訟法226条)をする。
 D検証にあっては「検証申出書
»特許法施行規則2条)を提出するとともに、検証物(実地検証を必要とするものを除く)を自ら提出したり、検証物提示命令の申立て»151条−民事訴訟法232条−同219条)や検証物送付の嘱託の申立て»151条−民事訴訟法232条−同226条)をする。

 補足1上記の各書面に記載する事項は、証明すべき事実を主張する書面(例えば、審判の請求書、答弁書)における「証拠方法」の欄に記載することができる»特許法施行規則0条項、各様式の備考)ので、それをもって上記の各書面の提出に代えることができる(上記の各書面を提出するのは、証明すべき事実を主張する書面に記載しなかった場合である

 補足2上記Cにおいては、原本(審判官が要求する場合は必須、正本、認証謄本のいずれかを提出する»特許法施行規則1条の5)とともに、特許庁と相手方の数に応じた写しを提出し、さらに必要であれば同数の「証拠説明書」も提出しなければならない»特許法施行規則0条2項・3項・5項。また、外国語の文書の場合は、訳文を添付しなければならない(»特許法施行規則1条1項。なお、請求人が提出する文書にあっては「甲第○○号証、被請求人が提出する文書にあっては「乙第○○号証、参加人が提出する文書にあっては「丙第○○号証」のように、提出順に符号(番号)を付すことが通常である。

 補足3上記Dにおいては、原物のほかに、特許庁と相手方の数に応じた図面、ひな形、見本のいずれかも提出するとともに、ひな形や見本には図面や説明書を添付しなければならない»特許法施行規則0条2項・4。また、実務上「検証物指示説明書」の提出も求められる»特許庁「審判便覧」5−。なお、請求人が提出する検証物にあっては「検甲第○○号証、被請求人が提出する検証物にあっては「検乙第○○号証、参加人が提出する検証物にあっては「検丙第○○号証」のように、提出順に符号(番号)を付すことが通常である。

 補足4提出した証拠物件、ひな形や見本は、請求によって返還される»特許法施行規則5条、特許庁「審判便覧」6−

 補足5証拠を偽造して自己に有利な審決を受けた場合は、刑罰が科される»197条

 補足6証拠調べの申立ての手数料は不要であるが、証人尋問、鑑定、実地検証にあっては、それらに必要な費用(例えば、旅費、宿泊費)の予納を通知される»特許庁「審判便覧」5−