■■ 解説(4項) ■■(»全体表示)
(1)趣旨
翻訳文を提出できる期間を徒過した理由が正当なものである場合に救済しないと苛酷だからである。
【補足1】以前は翻訳文を提出できる期間の徒過は救済(いわゆる追完)の対象となっていなかったが、特許法条約によれば、状況により必要とされる相当な注意を払ったと認められるにもかかわらず期間を徒過し、そして、その直接の結果として出願の喪失を引き起こした場合は、その回復について定めなければならない(»特許法条約12条)ので、これを遵守するべく、平成23年の法改正によって救済することとなった。
【補足2】期間の徒過の救済の対象となる理由としては、従来から不責事由(期間を徒過した者の責めに帰することができない理由)があるが、それでは特許法条約に適合しないおそれがあるので、新たに正当な理由を設けて、救済の対象となる手続に応じて二通りの理由を使い分けることとなった。
(2)解釈
(2.1)「正当な理由」
外国語書面の翻訳文を追完によって提出する場合(»第36条の2第6項)と同様である。
(2.2)「経済産業省令で定める期間」
正当な理由がなくなった日から2月であって期間の徒過後1年以内である(»特許法施行規則38条の2第2項)。
【補足】追完をする場合、すなわち、この期間内に翻訳文を提出する場合は、正当な理由を証明する書面を添付した「回復理由書」(»特許庁「期間徒過後の救済規定に係るガイドライン」)も提出しなければならない(»特許法施行規則38条の2第3項・4項)。