東京高裁(平成2年7月31日)“ベーンポンプ事件”は、「もし、新証拠の提出を認めるとすれば、そのことは、特許庁(被告)が出願人(原告)に対して新たな拒絶理由を示すことと変わりはないから、各構成の把握いかんにかかわらず、そのようなことは補正の機会のない審決取消訴訟の手続において許されるものではないと解するのが相当である。被告が新証拠として提出する乙号各証がそれ自体としてみる限り周知事実に関するものであることは否定し得ないとしても、いずれも、(b)構成又は(c)構成を想到することの容易性そのものに関わるもので、単に技術水準を知るとか刊行物の記載内容を明らかにするという類いのものとは異なるものであることは明らかである(現に審決自ら周知事実と認める甲号各証を拒絶理由として通知している。)。したがって、本件において審決の当否を判断するに当たり、被告が新証拠として提出する乙号各証を参酌することは許されないものといわなければならない」と述べている。 |