東京高裁(平成3年4月1日)“電子レンジ事件電子レンジにおいて、電磁波漏洩防止装置、放熱装置、電源装置は、必須のものであり、電子レンジに係る考案である本願考案においても同様である。そして、考案が完成しているというためには、当業者が明細書及び図面の記載に基づいてこれを反復実施して所期の技術的課題を達成できる程度にまで具体的客観的なものとして構成されていることを必要とするところ、本願考案は、本体全体の折りたたみができ、携帯もできる電子レンジを提供することを技術的課題とするものであり、これを達成するためには、前記電磁波漏洩防止装置、放熱装置、電源装置について、折りたたみ構造との関連での取付構造を含めた具体的構造を開示しなければならない。しかるに、本願明細書及び図面には、この点について所期の技術的課題を達成できる程度に具体的客観的な構成が開示されてなく、また原告主張の技術的事項が本件出願時の技術水準ないし技術常識であり、当業者に自明の事項と認めることもできないから、本願考案は、その余の電子レンジの構成について検討を加えるまでもなく、考案として未だ完成したものということができない」と述べている。

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