東京高裁(平成3年9月19日)“低温流動性軽油組成物事件”は、「本願発明の特許請求の範囲には『混合基原油を常圧蒸留して得られるパラフィン含量』、『パラフィン基原油』及び『混合油中のパラフィン』とのみ記載されているが、これらの記載から、石油化学の技術分野の当業者が直ちに本願発明における『パラフィン』とはどのような物質を指すか、その『含量』はどのような方法によって測定するかを一義的に理解することはできないと考えられるから、このような場合には、明細書の発明の詳細な説明を参酌してその技術的意義を理解することが許されるというべきである。そして、本願明細書(本願公報)の発明の詳細な説明において本願発明の『パラフィン』が『メチルエチルケトンと共に冷却した際に析出分離される成分を意味する』と定義され、かつ、『混合油中のパラフィン含量』が本願公報記載の測定法によって測定されるべきものと記載されている・・・・。したがって、本願発明が要旨とする『パラフィン』は『メチルエチルケトンと共に冷却した際に析出分離される成分』であり、本願発明が要旨とする『混合油中のパラフィン含量』は本願公報記載の測定法によって測定された数値をいうと理解すべきものである」と述べている。 |