東京地裁(平成4年0月3日)“アレルギー性喘息の予防剤事件「被告らの・・・・主張の趣旨は、・・・・本件発明がいわゆる用途発明であり、アレルギー性喘息の予防剤という用途についてのみ技術的範囲が及ぶものであるにもかかわらず、原告が本訴において差止めの対象物とした『フマル酸ケトチフェン』については、その用途を何ら限定していないから、アレルギー性喘息の予防剤という本件発明の技術的範囲を超えた用途(他用途)についてまで差止めを求める結果となり、不当であるとの点にあるものと思われる。そこで、この点について、検討することとする」、「本訴において、原告が製剤の差止めの対象物としているのはフマル酸ケトチフェンであり、販売の差止めの対象としているのはフマル酸ケトチフェンの製剤品であって『ザジトマカプセル』、『ケトチロンカプセル』及び『サルジメンカプセル(当サイト注:別紙第二物件目録記載の医薬品)に限っているわけではない。そして、フマル酸ケトチフェンがヒスタミン解放抑制作用の他に抗ヒスタミン作用を有することは従来から知られているのであるから、このフマル酸ケトチフェンについて、その抗ヒスタミン作用を利用する等した、アレルギー性喘息の予防剤以外の用途も考えられないわけではなく、現に、・・・・ケトチフェンなどの抗ヒスタミン剤について、 その効能に対する見直しが考えられるべきであるとの趣旨の記載のある文献も存するところである。そして、このようなアレルギー性喘息の予防剤以外の用途については本件発明の技術的範囲が及ばないことはいうまでもない。そして、・・・・認定事実をも併せて考えると、原告が差止めを求めた対象物のうち、本件発明の技術的範囲に属するのは、別紙第二物件目録記載の医薬品に限定されるというべきである」と述べている。

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