大阪地裁(平成6年4月28日)“ステンレス鋼製真空二重容器事件”は、「被告から原告に対し本件発明を完成すべき旨の具体的な命令ないし指示があったとは認められない・・・・が、発明を完成するに至った行為が従業者の職務に属する場合とは、特に使用者から特定の発明の完成を命ぜられ、あるいは具体的な課題を与えられて研究に従事している場合が含まれることはいうまでもないが、そのほかに従業者が当該発明をすることをその本来の職務と明示されておらず、自発的に研究テーマを見つけて発明を完成した場合であっても、その従業者の本来の職務内容から客観的に見て、その従業者がそのような発明を試みそれを完成するよう努力することが使用者との関係で一般的に予定され期待されており、かつ、その発明の完成を容易にするため、使用者が従業者に対し便宜を供与しその研究開発を援助するなど、使用者が発明完成に寄与している場合をも含むと解するのが相当である」と述べている。 |