東京高裁(平成9年3月13日)“血液泥化によって誘発される疾病用治療剤事件”は、「特許法30条2項(サイト注:現1項)の規定の適用については、優先権主張を伴う特許出願をどのように取り扱うか明文の規定は存在しないが、パリ条約4条のBは、第一国出願の日と第二国出願の日との間に行われた当該発明の公表等の行為により第二国出願が不利益を受けないことを定めたものであって、第一国出願より前に行われた行為により不利益を受けないことを定めたものではないこと、特許法30条2項の規定は、新規性喪失の例外規定であって、優先権主張を伴う特許出願について、同項に規定する『特許出願』は第一国出願の出願日を意味する解すると新規性喪失の例外期間を1年6月まで拡大することになり、この規定の趣旨に反して特許を受ける権利を有する者に不当な利益を得せしめる結果となること等に照らすと、日本国を第二国出願とする優先権主張を伴う特許出願については、同項に規定する『特許出願』の日は、日本国においてなされた特許出願の日を意味すると解するのが相当であって、パリ条約4条を根拠としてこれと異なる解釈をする余地はないというべきである」と述べている。 |