大阪地裁(平成11年10月7日)“掴み機事件”は、「被告は、本件実用新案権の出願日(昭和59年7月20日)より以前である昭和58年5月には、本件考案の技術的範囲に属するイ号物件と同様の構造を持つ一号機を製造し、同年8月にこれを販売していたことが認められる。そして、右一号機は、未だ量産化以前の試作品であるということができるが、・・・・この種フォーククローは受注生産の形態を取る製品であることが認められ、被告がこれを現に顧客に販売し、対価を得ていることからすれば、被告は、本件考案に係るフォーククローの実施である事業をしていたものというべきであり、仮にそうでないとしても、実施の準備をしていたものと認められる。そして、被告が右当時、本件考案の内容を知っていたことをうかがわせる証拠資料は一切存在せず、取引先の要望により独自に一号機を製造したものと認められるから、被告には、一号機と同様の構造を有するイ号物件の製造、販売に係る部分については、先使用による本件考案の通常実施権が認められるというべきである」と述べている。 |