東京地裁(平成1年1日)“養殖貝類の耳吊り装置事件本件出願のような分割出願が適法なものとして特許法4条2項による出願日の遡及が認められるためには、@分割の基になる原出願の明細書又は図面に二以上の発明が記載されており、A右記載された発明の一部を分割出願に係る発明としていること(同法4条1項)のほかに、B分割出願が原出願について補正のできる範囲で行われることが、必要と解される。けだし、分割出願に出願日遡及の効果が認められている以上、このように解さなければ、本来許されないはずの補正が分割の方法を用いることによって実質的に可能になるという、不当な結果を招くからである。そして、本件において、分割出願が原出願について補正のできる範囲で行われているといえるためには、分割出願の明細書又は図面が、原出願の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内でないものを含まないことを要する・・・・ものと解すべきである」と述べている。

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