大阪地裁(平成12年10月19日)“石油燃焼器の燃料供給用電磁ポンプの製造方法事件”は、「特許法104条は、物を生産する方法の発明は、たとえこれを第三者が実施したとしても、その第三者の生産方法を立証することが極めて困難であるため、その生産方法についての立証責任を転換せしめることにより右困難を救済する趣旨に出るものであるが、このような推定を合理的ならしめる前提には、新規物の生産方法の発明がなされた場合、その特許出願以前には当該新規物の製造方法が知られていなかったことから、他の者によるその物と同一物の生産はその特許方法によってなされている蓋然性が高いとの認識が存しているものと解される。したがって、同条にいう『公然知られた物でない』とは、右のような蓋然性の有無という観点からして、その物が現実に存在していないというだけでは足りず、少なくとも当該技術分野における通常の知識を有する者においてその物を製造する手がかりが得られる程度に知られた事実も存しないことをいうと解すべきである」、「本件発明の目的物は、少なくとも当該技術分野における通常の知識を有する者においてその者を製造する手がかりが得られる程度に知られた事実が存し、同条にいう公然知られた物に該当するものというべきである」と述べている。 |