東京高裁(平成2年3日)“昇降足場事件原告は、6個もの刊行物を組み合わせること自体に、相当の困難性があるはずである旨主張する。しかしながら、単に組み合わせる刊行物の数が多いことから、発明の容易想到性を否定することはできないというべきである。本件において、刊行物1ないし6の各引用例は、いずれも、建造物の上部から吊り材で吊持する昇降足場を開示するものであって、本願発明の構成は、刊行物1記載の昇降足場に、その各構成要素として、刊行物2の吊持手段、刊行物6のリンク機構、刊行物5の作業床、刊行物3のカバー部材、刊行物4の揺れ止め手段をそれぞれ適用したものである。本願発明は、これらの各構成要素を単に寄せ集めたものにほかならず、その効果も各引用例記載の発明が奏する効果の総和を超える格別のものはないと認められる。したがって、刊行物1ないし6を組み合わせることは当業者にとって容易であるというべきであり、この点に関する審決の判断に原告主張の誤りはない」と述べている。

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