東京高裁(平成2年2月0日)“医薬事件最初に薬事法4条1項による処分を受けて、所定の有効成分、効能・効果を有する医薬品について製造承認を得た特許権者は、その有効成分、効能・効果を有する医薬品に関して、特定の品目に限ってであれ、特許発明を実施することができるようになっていたのであるから、同じ有効成分、効能・効果の範囲内で、剤型、用法、用量等の変更の必要上、再度処分を受ける必要が生じたとしても、特許期間の登録延長を認めることはできないというべきである」、「前説示のとおり、原告が同じ有効成分、効能・効果の医薬品について、成人用のものとして厚生大臣の承認を受けたことによって、当該有効成分、効能・効果の医薬品に属するものにつき特許権を実施することができる状態になっていたのであるから、仮に品目単位の承認によって他の使用態様、すなわち、小児用の医薬品を製造することができない状態にあったとしても、特許法の存続期間延長登録の制度の見地からは、そのことによって特許権の実施が妨げられているとはいえないものとみざるを得ないのである」、「このような事態による特許権者の不利益は、特許権者自身の努力(処分取得の仕方における工夫)により回避すべきことが期待されているのであり、それができなかったことによる不利益は特許権者自身が甘受する結果になってもやむを得ないものというべきである」と述べている。

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