大阪地裁(平成12年2月22日)“シュレッダー用切断刃事件”は、「いわゆる均等論が認められる根拠は、特許発明の実質的価値は第三者が特許請求の範囲に記載された構成からこれと実質的に同一なものとして容易に想到することのできる技術に及び、第三者はこれを予期すべきであるとの点に求められる(・・・・最高裁判決参照)。ところで、ここで検討する容易想到性と類似した概念に、特許法29条2項所定の、特許出願前の公知の発明に基づいて『容易に発明をすることができた』というもの(進歩性のない発明)があるが、そこでいう発明の容易性は、特許権という独占的権利を付与するための要件であることから、技術の自然的進歩の程度にとどまる発明を特許権の対象から除外し、技術の飛躍的な進歩をもたらす発明のみを特許権の対象とする趣旨として理解される。これに対し、均等要件としての容易想到性は、当業者たる第三者であれば、特許請求の範囲に記載された発明と実質的に同一なものとして特許権の実質的価値が及ぶものと当然に予期すべき範囲を画するための要件であるから、特許法29条2項の場合とは異なり、当業者であれば誰もが、特許請求の範囲に明記されているのと同じように認識できる程度の容易さをいうものと解するのが相当である」と述べている。 |