東京地裁(平成2年4月7日)“冠婚葬祭用木製看板事件原告の損害額に関する主張は、特許法102条2項に基づいて、被告が特許権侵害行為により得た利益の額を原告の損害額とするものであるところ、ここでいう『利益』とは、純利益を指すものではなく、粗利益(売上総利益)から売上額に比例して増減する、いわゆる変動経費を控除したものを意味するというべきである」、「被告は平成4年6月0日から平成8年2月9日までの間、被告商品を使用し、貸し渡していたものと認められるところ、・・・・被告の平成4年6月0日から平成7年5月1日までの間の全売上高は、2億2881万1493円であり、被告の平成7年6月1日から平成8年5月1日までの間の全売上高は、4億4347万8209円であることが認められる。そして、被告の平成7年6月1日から平成8年2月9日までの9か月間の全売上高は、4億4347万8209円の4分の3に相当する3億3260万8657円であると推認することができるから、被告の平成4年6月0日から平成8年2月9日までの間の全売上高は、5億6142万0149円(サイト注:これを@とする)であると認められる。被告の全売上高に対する被告商品に係る売上高の割合が約0パーセント(サイト注:これをAとする)であり、また、その粗利益率が少なくとも5パーセント(サイト注:これをBとする)を下らないことは、当事者間に争いがない。そして、冠婚葬祭用品の貸出しの業態においては、一般に、当該用品の製造ないし購入に要した原価のみならず、これを管理するための人件費等の管理費も変動経費として認められるものであり、その他本件訴訟に提出された全証拠及び弁論の全趣旨によって認められる諸般の事情を総合勘案すれば、被告商品の使用及び貸渡しに係る変動経費としては、粗利益額のうち概ね0パーセントと認めるのが相当であるから、被告が被告商品の使用及び貸渡しによって得た利益の額は、その粗利益額の概ね0パーセント(サイト注:これをCとする)であるというべきである。右に加えて、・・・・特許法105条の3の趣旨を併せ考慮すれば、被告は、平成4年6月0日から平成8年2月9日までの間、被告商品の使用及び貸渡しによって、7000万円(サイト注:@×A×B×C(端数切捨て)の利益を得たものと認められ、原告は、被告の特許権侵害行為によって、同額の損害を被ったものというべきである」と述べている。

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