東京地裁(平成2年6月3日)“血液採取器事件本件特許請求の範囲には、水溶性の物質を除外する旨の限定はなく、また、・・・・本件明細書にも水溶性の物質を除外する旨の記載はない。なお、・・・・右明細書に、『水膨潤性高分子材料の膨潤度としては、常温〜体温程度にて、水と接触して、0分以内に自重の100〜1000倍に膨潤するものであることが好ましい・・・・との記載があることが認められるが、右記載は、本件発明を実施するのに好ましい材料を例示したもので、それ以外の物質を除外するものとは認められない。・・・・水溶性高分子材料であっても、右材料の膨潤によりフィルターの気密性が実現されれば、本件発明の作用効果を奏するから、このような物質を除外する理由はない。以上によると『水膨潤性高分子材料』は、水に溶解するものであっても、溶解する過程で膨潤し、膨潤によってフィルターの気密性が実現され得る高分子材料を含むものと解される。なお、被告は『水膨潤性高分子材料』を右のように解すると、構成要件の明確性が失われると主張するが、右のように解したとしても、本件発明に属するものと属さないものとが不明確になるとはいえないから、構成要件の明確性が失われるということはできない」と述べている。

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