大阪地裁(平成12年9月19日)“折り畳み式可動門扉事件”は、「イ号物件は、それ自体はパネルを備えていない折り畳み式可動門扉であるが、原告は、イ号物件がパネルとセットで使用することを当然に予定して販売されているものであるとして、イ号物件の製造、販売等をすることは本件実用新案権の間接侵害に当たる旨主張するのに対して、被告は、イ号物件はパネルなしで使用できるものであり、現実にもパネルなしで使用することが多いから、本件考案に係る物品の製造にのみ使用するものには当たらない旨主張する」、「証拠・・・・及び弁論の全趣旨によれば、被告は、イ号物件を『ライトゲートクロス(LGC)』という名称で、ロ号物件を『ライトゲートパネル(LGP)』という名称で、それぞれ別個の商品として販売していること、イ号物件についてはパネルはセットで販売されておらず、別売となっていること、イ号物件の広告用チラシには、『MSCライトゲートクロス兼用シリーズ』(MSCは被告の略称と解される。)の表題が付され、クロスゲート単体の写真とパネル着用時の写真が両方掲載されており、『特長』として、『風圧を考えてクロスゲートで、又、場内を視界からシャットアウトするパネル付きと1台2役を演じます』『ワンタッチピンでパネルを付けてよりグレードアップを!(パネル別売)』と記載されていることが認められる。右事実からすれば、被告はイ号物件を、パネルを取り付けないでも取り付けても使用できるという兼用可能であることを特徴として宣伝しているが、あくまでパネルは別売であるから、イ号物件の購入者においてパネルの方は別途購入することなく、もっぱらパネルなしのクロスゲートとして使用することも十分ある得るところであり、そのような使用方法も現実的で実用的なものであるということができる。そうすると、イ号物件には、パネルを取り付けてロ号物件のゲート部分として使用する以外に、パネルを取り付けないで伸縮リンク式ゲート単体として使用するという、実用的な他の用途があるというべきである」、「原告は、イ号物件のたて格子にヒンジ受けが設けられていることを理由に、イ号物件には、ロ号物件のゲート部分として使用する以外に実用的な用途はないと主張するところ、確かに、イ号物件をパネルなしの伸縮リンク式ゲート単体として用いた場合には、たて格子のヒンジ受けが無用なものになるが、イ号物件とロ号物件とでは、パネルがセットで販売されるかどうかと斜材の数の違い程度の差しかないから、被告が主張するように、製造コストの低減という観点から部品を共通化するためにイ号物件にもヒンジ受けが設けられているというのも首肯できるところであり、イ号物件がもっぱらパネルなしで使用される場合にはヒンジ受けが無用であるからといって、イ号物件がパネルとセットで使用されることだけを予定して販売されているとはいえないし、パネルを取り付けない単体での使用が実用性のある用途であることを否定する根拠ともならないものというべきである」、「以上によれば、イ号物件の製造、販売等をすることが本件実用新案権の間接侵害に当たるとは認められない」と述べている。 |