大阪地裁(平成12年9月5日)“作業用足場台事件”は、「原告は、原告と村上商店とは協力しあって販売活動を行い、村上商店と取引する販売店に対して原告が商品を直接納入するといった、協力関係にあったから、本件譲渡の際、村上商店は原告のために本件第1考案及び本件第3考案を秘密にすべき義務を負っていたと主張する。確かに、・・・・得意先元帳・・・・によれば、原告は、村上商店との多くの取引において、同社が取引する販売店に対して、商品を直接納入していたことが認められるが、そのような営業上の関係から、直ちに、本件譲渡の際、村上商店は原告のために本件考案を秘密にすべき義務を負っていたとみることはできない。そして、その他の証拠によっても、原告と村上商店の関係が、単なる取引関係があるという以上に、原告の考案について村上商店が守秘義務を負うような親密ないし特別な関係にあったことを窺わせるに足る証拠はない。むしろ、・・・・平成2年7月から原告と村上商店との取引が始まり、平成5年1月ころは、1か月約150万円の取引があったことが認められるものの、・・・・損益計算書・・・・によれば、原告の平成4年9月1日から同5年8月31日までの当期製品売上高が19億9301万0126円であり、当期商品売上高が7518万9624円であり、原告の全売上高のうち、村上商店との取引により生じる売上高が占める割合は、ごく一部にすぎないことが認められるのであって、このことからすると、原告と村上商店との関係は、単なるメーカーと問屋との関係にすぎなかったものと見るのが相当である」と述べている。 |