東京高裁(平成3年0月5日)“コンクリート用骨材事件原告は、特許無効の再度の審決がされたときに、特許権者が提起する再度の審決取消訴訟においては、・・・・取消判決の拘束力は及ばず、特許権者は、審決取消訴訟の審理範囲内の主張立証として許される限度内で、再度の審決の認定判断の違法性を裏付ける実質的に新しい証拠を提出して、その認定判断の違法を主張することが許されるものと解すべきであるとし、その根拠として、無効審判の請求人が提起する再度の審決取消訴訟においては、再度の審決の認定判断の違法主張が許されなくとも、別の特許無効の審判請求をすることができるのに、特許権者が提起する再度の審決取消訴訟において、特許権者に再度の審決の認定判断の違法主張が許されないとすれば、特許権者は敗訴判決を受け、絶対的に特許権を失う結果となって公平を欠く旨主張する。しかしながら、・・・・特許権者には、審判の段階及び審決に対する取消訴訟の段階(最初の審決を取り消す判決がされる場合においては、最初の審判及び取消訴訟の段階)において、発明の進歩性につき主張立証する機会があったのであるから、それにもかかわらず、審決取消訴訟において発明の進歩性を否定する認定判断がされたとすれば、当該特許権を失うに至ってもやむを得ないものといわなければならない(なお、最初の審決取消訴訟で油断することがあるなどということが、およそ理由となるものでないことはいうまでもない。)・・・・したがって、原告の上記主張は採用することができない」と述べている。

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