大阪地裁(平成13年10月9日)“電動式パイプ曲げ装置事件”は、「特許法102条2項が設けられた目的は、侵害行為がなかったならば権利者が得られたであろう利益という仮定の事実に基づく推論という事柄の性質上、侵害行為との因果関係の存在、損害額算定の基礎となる各種の数額等を証明することに困難を生じる場合が多いことから、侵害行為により侵害行為者が得た利益の額を被害者の逸失利益額と推定することによって権利者の損害証明の方法の選択肢を増やして被害の救済を図るとともに、侵害行為者に推定覆滅のための証明をする余地を残して、権利者に客観的に妥当な逸失利益の回復を得させる点にあるものと解され、この点では特許発明の実施による市場利益を独占し得る地位にあることにおいて特許権者や専用実施権者と異ならないから、独占的通常実施権の侵害による損害の賠償請求の場合においても、特許法102条2項を類推適用し得るものと解するのが相当である」と述べている。 |