東京高裁(平成13年11月29日)“連杭事件”は、「原告は、・・・・本件カタログは、引用刊行物2とは別の、異議手続で審理されていない新たな証拠というべきであり、本訴において提出され、証拠として採用されることは許されない旨主張する。しかしながら、特許庁における異議手続において現れておらず審理判断の対象とされなかった資料であるからといって、それだけで、直ちに、決定に対する取消訴訟において提出することが許されなくなるというものではない。異議決定に対する取消訴訟は、異議決定の違法性の有無につき当事者が主張立証を尽くし、それを前提として裁判所が判断をすることを予定するものであって、出願された発明や考案の新規性なり進歩性なりを検討する前提として、決定において引用されている刊行物でないものを、取消訴訟になって引用刊行物として持ち出すことは、取消訴訟の性質に照らして許されないとしても、異議手続において既に引用されている刊行物の頒布の時期や記載内容を明らかにするために、異議手続の段階では現われていなかった資料を提出することは、それが、異議手続と取消訴訟を通じてみて、故意や重大な過失により時期に遅れて提出したものと認められ、これによりより訴訟の完結を遅延させることとなると認められるとき許されなくなることがある(民事訴訟法157条参照)のは別として、何ら差し支えのないものというべきである」と述べている。 |