東京高裁(平成3年2月1日)“パン焼き皿事件原告は『純白紙』の・・・・性質からみて、作用効果aないしcも自明である旨主張する。しかしながら、当初明細書の記載から自明な事項であるというためには、当初明細書に記載がなくとも、同明細書に接した当業者であれば、誰もが、その事項がそこに記載されているのと同然であると理解するような事項であるといえるものでなければならず、その事項について説明を受ければ簡単に分かる、という程度のものでは、自明ということはできないというべきである。本件において、当初明細書の『純白紙』の記載から、作用効果aないしcを奏することが記載されているのも同然であるとみることができないことは、・・・・当初明細書の記載内容から、明らかというべきである」、「本件補正は、当初明細書に新たな技術的事項を加えるもの・・・・というべきであるから、これを却下すべきであるとした審決に誤りはない」と述べている。

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