東京高裁(平成3年2月1日)“布地接着方法事件原告が本件発明1、2の作用効果として主張する、@取付布端部に接着テープを用いることができ、接着剤又は接着フィルムでコーティングするという作業過程を省略することができること、A圧着する際の折り畳まれた部分の厚みにむらが生じにくく、均一な接着が可能になること、については、本件特許明細書には何ら記載がない。記載されていない理由が、これらの作用効果が自明の作用効果であることによるのであれば、そのような作用効果が特許権の根拠になり得ないことは、論ずるまでもないところである。また、自明の作用効果ではないとしても、自明でないにもかかわらず開示しないでおいて、これを特許性の根拠とすることは、許されないことという以外にない。いずれにせよ、このような明細書に開示されていない作用効果を、本件発明1、2の進歩性の根拠とすることはできない」と述べている。

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