東京高裁(平成3年54日)“液晶表示装置事件原告は『近接する』と『隣接する』とが意味を異にしている旨主張する。しかしながら、甲第3号証(広辞苑第三版)によれば、一般的な用語法に従うと『隣接』とは『となりあってつづくこと』、『近隣関係にあること』との意味であること、一方『近接』とは『近くにあること』、『近づくこと』、『接近』との意味であることが認められる。同事実によれば『近接』とは『隣接』を含み、これより広い範囲を意味する語であることが明らかである。したがって『近接する』というとき、何か特殊な事情でもない限り『隣接する』という意味をも含んでいるものというべきである。原告の主張は、失当である」、「原告は、訂正考案が微細化した電極あるいは高密度表示の電極を具備する液晶表示装置を対象にしているから、訂正考案の『近接する』の技術的意味は、引用考案1の『隣接する(電極』のそれと相違している旨主張する。しかしながら、仮に、原告主張のとおり、訂正考案が微細化した電極あるいは高密度表示の電極を具備する液晶表示装置を対象にしているとしても、なにゆえに、訂正考案にいう『近接する』の技術的意義が引用考案1の『隣接する』を含まないほどまでに減縮されることになるのか、訂正考案の実用新案登録請求の範囲の記載、訂正明細書等の記載等、本件全証拠を検討しても理解することができない。原告の上記主張は、採用できない」と述べている。

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