東京高裁(平成4年1月7日)“表示画面付スロットマシン事件本件特許権を有する者は、本件特許権につき平成4年8月6日に原告への移転登録がされるまでの間は、ケイ・アール特許管理であったこと、したがって、本件異議申立事件においては同会社が被申立人とされ、特許庁は同異議申立事件について審理を行った結果、平成4年6月6日に同会社を名宛人として本件決定をし、その謄本は同年7月1日に同会社に送達されたことが明らかである。したがって、本件訴えが提起された平成4年7月0日の時点で、当事者として本件決定の取消しを求める原告適格を有する者は、ケイ・アール特許管理のみであり、原告は、当事者の立場にはなく、また、特許法178条2項が取消決定に対する訴えを提起することができる者として規定しているその余の者にも該当しないから、本件訴えは、原告適格を有しない者が提起したものとして不適法というべきである」、「もっとも、特許法178条3項は、取消決定に対する訴え等は、決定等の謄本の送達があった日から0日を経過した後は提起することができない旨規定しているから、原告適格を有しない者が特許異議申立てに基づく取消決定に対する訴えを提起したとしても、上記出訴期間内にその者が原告適格を備えるに至れば、原告適格を有しない者により提起されたという手続上の瑕疵は治癒され、上記訴えは適法になるものと解される。そこで検討するに、・・・・原告は、平成4年7月9日、ケイ・アール特許管理との間で、原告が同会社から本件特許権の譲渡を受ける旨の譲渡契約を締結し、同月0日、特許庁に対し特許権移転登録申請をしていることが認められるが、上記譲渡契約による本件特許権の原告への移転の効力が生じたのはその旨の移転登録がされた同年8月6日であるから、本件決定に対する訴えの出訴期間内(その期限は同年7月1日である)に原告が原告適格を具備したとは認められず、したがって、原告適格を有しない者が提起したという本件訴えの手続上の瑕疵が治癒されたということはできない」と述べている。

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