東京地裁(平成4年46日)“重量物吊上げ用フック装置事件要件B(サイト注:均等の第3要件)に関して、ロ号製品のロック機構は、フック背部の先端から背方に屈曲した二股構造の空間内に配設されたロックが、抜去用ロック本体を兼ね、その配設位置もフックの側にあること、また、係止部がフック支持体の中央部に設けられていることを特徴とするが、本件特許発明・・・・より前に公知であった特公昭9−23488号の特許公報・・・・には、二股空間内に設けられた1個のロック(ラッチ)により、フック支持体(舌片)の閉鎖状態で、フック支持体中央部の係止部に係止してロックし、フック支持体の開放状態で、フック支持体中央部の他の係止部に係止してフック支持体を開放状態に維持する技術が開示されている。上記技術において、フック支持体の開放状態の維持は、ロック状態を生じさせることによるのではなく、スプリング(バネ)の作用によるものであるが・・・・、スプリングの力で位置を維持するか、ロック状態とするかは、係止部とロック片との形状及びスプリングの力の方向を適宜設計変更すれば足りる程度の事項である。したがって、当業者としては、本件特許発明・・・・が開示されていれば、これに公知である上記の技術を適用して、ロ号製品の抜去用ロック機構に置換することは容易であるものと認められる」と述べている。

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