東京地裁(平成4年79日)“顆粒状ウィスカー事件原告は、・・・・『ほぼ球形』という要件を、特許異議申立てがされた後に手続補正書を提出して加え、特許異議の審理の中で、引用例1とは『ほぼ球形』という形状という点で異なると主張している。また、・・・・原告は、本件特許の無効審判手続において、引用例1が造粒繊維の平均径の記載を示しているのに対し、第1発明は、顆粒の直径の上下限を明示するものである、本件発明で粒径を規定せず直径のみを規定したのは、顆粒がほとんど球形であるためである、本件発明は、特定の数値範囲の顆粒直径を有する球形の顆粒ウィスカーであると主張し、審決でも、引用例1には、『ほぼ球形』の点について具体的な記載及び示唆がないことを理由の1つとして無効審判請求が成り立たないとされた。以上述べたところからすると、原告は、第1発明について、顆粒の形状を『ほぼ球形』と規定し、その顆粒の直径を上下限値をもって定めることによって、・・・・作用効果を奏し、先願技術(引用例1)とも異なる発明として、特許を得たものと認められるから、第1発明における顆粒の形状、顆粒の直径を規定した本件争点部分の構成要件は、いずれも本件発明の本質的部分であるということができる。そして、以上の本件特許の出願経緯等からすると、この顆粒直径の数値範囲及び形状を外れる製品は特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たると認められる。したがって、顆粒の直径が第1発明の数値範囲を外れ、形状が第1発明の形状と異なる被告製品は、第1発明と均等なものとは認められない」と述べている。

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