東京地裁(平成14年7月23日)“使い捨ておむつの製造方法事件”は、「被告装置1においては、レッグギャザーとボディフィットギャザーは同一のユニット(レッグギャザー及びボディフィットギャザー取付装置)により、おむつに装着される設計となっていること、おむつメーカーがレッグギャザーを不要と考えれば、レッグギャザー用の弾性部材を使わないか、トラバース手段を止めればよいこと、現に、大王製紙株式会社が、被告装置を使用してレッグギャザーのないおむつを製造していたことがあり、同様の製品は米国でも販売されていたこと、その背景に、レッグギャザーは脚回りからの漏れ防止に一定の効果があるものの、着用者に圧迫感を与えたりムレの原因となったりすることからこれを嫌う考え方があること、がそれぞれ認められる。これらからすれば、被告装置1においては、レッグギャザーなしのおむつを作ることができ、現実にそのようなおむつが製品として存在しているというのであるから、被告装置1においては、レッグホールに沿って弾性糸を位置させるという本件第1発明の方法と異なる用途があるといわなければならない」、「原告は、被告装置1を他の用途に用いるときに重要な部分が遊んでしまうことになったとしても特許法101条2号(サイト注:現4号)により特許権の侵害とみなされないと考えることは正当とはいえないと主張する。しかし、上記に認定したように現実にレッグギャザーのないおむつが製品として存在していることなどに照らせば、被告装置1において、ボディフィットギャザーの取付けに比してレッグギャザーの取付けが重要ということには必ずしもならないと考えられる。つまり、被告装置を使用する各おむつメーカーは、レッグギャザーを取り付けずにボディフィットギャザーのみを取り付けるという選択をすることによって、レッグギャザーのないおむつを製造することができ、レッグギャザーの取付けを嫌う考え方もあって、現実にそのようなおむつが製品として存在するというのであるから、このようなレッグギャザーのないおむつを製造するという用途をレッグギャザーのあるおむつを製造する用途の他の経済的用途と認めることは何ら妨げられないというべきである。原告の主張は、採用できない」と述べている。 |