東京地裁(平成14年9月10日)“密封容器の密封不良および変形検出装置事件”は、「原告が所属していた部署が、缶チェッカーの『製造、修理』のみならず『開発』をもその業務分担としており、かつ、原告が被告の社内における唯一の担当者として電磁打缶式及び距離式缶チェッカーの製造、納入及び修理を担当していたことからすると、原告がそれら従来の缶チェッカーの抱える問題点を解決する本件発明を発案しそれを完成する活動を行うことは、使用者との関係で一般的に予定され期待されていたものということができる。・・・・原告は、被告の社内において行われていた発明・考案に関するアイディア募集に応募する形で、本件発明のアイディアを被告へ報告し、・・・・本件発明について特許を受ける権利を被告に譲渡した旨の譲渡証書・・・・に署名押印しているのであるが、これらの事実は、原告が本件発明を行うことが、使用者との関係で一般的に予定され期待されたものであったことを示しているということができる。また、・・・・原告は、被告の許可を得て、勤務時間内に実験を行い、本件発明の原理に基づいて現実に実施できることを確認したものである。これらのことからすると、本件発明は原告の職務に属するものと認めるのが相当である」、「原告は、本件発明の当初、被告から本件発明について具体的命令又は指示を受けていたわけではなく、また、本件発明の原理を自宅で思いつき、自己所有の装置を用いて実験するなどした事実があったとしても、以上述べたところに照らすと、これらの事実は、本件発明が原告の職務に属するとの上記認定を左右するものではないというべきである」と述べている。 |