東京高裁(平成14年9月19日)“窒素化合物半導体結晶膜の成長方法事件”は、「原告は、本件発明は、被告会社社長の青色発光ダイオードの研究を中止して高電子移動度トランジスタの研究をするようにとの業務命令に反して、原告が行ったものであるから、職務発明に該当しないと主張する。たしかに、原告の陳述書・・・・には、平成2年当時、被告会社のA社長が、青色発光ダイオード開発のためにはセレン化亜鉛が成功の見込みが高く、窒化ガリウムでは成功の見込みが少ないとの外部からの情報に従って、原告に対して、青色発光ダイオードの研究を中止して高電子移動度トランジスタの研究をするようにとの業務命令を発したとの記載がある。しかしながら、原告は、原告の被告会社における勤務時間中に、被告会社の施設内において、被告会社の設備を用い、また、被告会社従業員である補助者の労力等をも用いて、本件発明を発明したのであるから、原告主張のような事情が存在するとしても、本件発明を職務発明に該当するものと認定する妨げとなるものではない」と述べている。 |