東京高裁(平成15年3月17日)“配線用フロアパネル事件”は、「前件無効審判においては、相違点2に係る構成に関し、周知技術Aについては、請求人(被告)からの主張立証がなく、現に審理判断の対象ともならなかったことが明らかであり、他方、本件無効審判においては、争点の容易想到性そのものを基礎付ける新証拠として刊行物7、8が提出されたのみならず、相違点2に係る無効理由として、『刊行物3記載の考案と刊行物1記載の考案及び周知技術Aとの組合せによる容易想到性』という、前件審決の審理判断の対象となっていない新たな無効理由が審理され、当該新たな無効理由が採用されたものというべきである」、「そして、特許法167条の趣旨とするところが、無効審判の手続においては、特定された無効理由をめぐって攻撃防御が行われ、かつ、審判官による審理判断もこの争点に限定してされるという手続構造に照応して、確定審決に対し、そこにおいて現に審理判断の対象とされた事項につき対世的な一事不再理の効力を付与したものであること(最高裁昭和51年3月10日大法廷判決・・・・)にかんがみると、本件審決は、相違点2につき、前件審決と『同一の事実及び同一の証拠』に基づく判断をしたものということはできない」、「したがって、本件審決の相違点2についての判断は、前件審決と『同一の事実及び同一の証拠』に基づくものとはいえず、実用新案法41条において準用する特許法167条に違反するものではない」と述べている。 |