東京地裁(平成15年4月14日)“核酸増幅反応モニター装置事件”は、「被告は、本件後願の明細書において、本件特許の優先権主張の基礎となった米国出願の明細書に記載された装置が光学系として光ファイバーを使用するのに対し、本件後願の発明に係る装置は光ファイバーを使用せず、かつ、光学系としてCCDカメラを使用するという点で優れていると強調していることから、本件発明の技術的範囲は、光学系として光ファイバーを使用し、かつ、CCDカメラを使用しないものに限定され、本件においてこれに反する主張をすることは信義則等に反し許されないと主張する。しかし、本件発明の技術的範囲は、本件明細書の特許請求の範囲の記載に基づいて定めることを要し、その際に発明の詳細な説明の記載や図面を斟酌することはできるが、本件特許出願と別個の特許出願である本件後願の明細書の記載を斟酌することには合理的な理由がない。また、仮に本件発明における『光学系』の意義について、本件後願の明細書の記載において異なる説明がされていたとしても、本件においては、その点が禁反言の原則や信義側に反するということもできない。したがって、被告の上記主張は理由がない」と述べている。 |