東京高裁(平成15年6月5日)“ギヤシェーパ加工方法事件”は、「いわゆる選択発明が成立するというためには、当該発明で選択されたところのものが、当該発明によって開示されることがなくとも、通常のこととして採用されるようなものである、というような場合でないことが必要である。当該発明による開示がなくとも通常のこととして採用されているものを選択することに、技術的思想の創作としての価値を認めることはできない、というべきであるからである。そして、本件発明におけるx値が、本件発明による開示がなくともごく普通に採用されるものであることは、既に述べたところから明らかである」、「いわゆる選択発明が成立するためには、本件発明のx値の範囲が顕著な効果を奏する臨界的意義を有することも必要である。本件明細書中における図3・・・・に示された逃げ面摩耗量は、x=0.2及び0.9を境として急に変化するようなものではないことが認められるから、同図からは、x=0.2及び0.9の値が臨界的意義を有するものであると認めることはできない。そして、他に、本件明細書中に、本件発明における0.2≦x≦0.9のx値の範囲に臨界的意義があることを認めるに足りる記載は見当たらない」と述べている。 |