東京高裁(平成15年7月15日)“電波の検出装置事件”は、「原告は、両発明のダイオードは、使用個数においても異なり(本願発明1では1個、引用発明1では2個である。)、それらの属する回路の機能においても異なる(本願発明1のものは、半波整流により、効率よく電流を検知するものであるのに対し、引用発明1のものは、半波倍電圧整流により、効率よく電圧を検知するものである。)ものであって、異なるものである、したがって、両者のダイオードを単純に一致するとした審決の認定は誤りである、本願明細書の【発明の詳細な説明】に、従来技術のものが、2個の整流用ダイオードを使用しており、その構造が複雑でコスト高になるという欠点があることから、この欠点を除去すべく、従来のものの構造を簡単にしたものである、との趣旨の記載があること、及び、その実施例として、本願明細書の図3に、整流用ダイオードが1個のものが図示されていることからすれば、本願発明1の整流用ダイオードは、特許請求の範囲にその旨明記されていなくとも、1個のものと解すべきである、と主張する。しかし、本願発明1に係る特許請求の範囲(請求項1)において、『ダイオード』は、『前記LC共振回路で励振した高周波交流を直流に変換する整流用ダイオード』と規定されているだけである。したがって、本願発明1において、ダイオードの個数が1個に限定されているとみるべき理由も、半波倍電圧整流のものが、『整流用ダイオード』から除外されているとみるべき理由もない。本願発明1の『整流用ダイオード』につき、その個数を1に、あるいは、半波整流回路のものに限定しようとするとき、請求項1にその旨の記載をすることには、何らの困難もない。原告の上記主張は、特許請求の範囲に容易にその旨の記載をすることができるにもかかわらず、その旨の記載をしないでおいて、その旨の記載があるのと同じように扱えと要求するものであり、採用することができないものであることが明らかである」と述べている。 |