東京地裁(平成5年88日)“暗渠形成装置事件本件特許発明にいう『スリット渫えナイフ』の意義については、・・・・『発明の詳細な説明』の記載を考慮して解釈するに、本件明細書には『このナイフ1は前記掘削爪5により形成したスリット空間Sを浚う機能と』・・・『前記ナイフ1は土の中に形成された掘削空間であるスリット状の空間を形成すると共に、この空間を浚うに適した薄い縦長の形状をしたもので』・・・・との記載があるから、これらの記載によれば『スリット渫えナイフ』とはスリット空間の土砂を浚う機能を有する部材を指すことが明らかである」、「この点に関し、被告は、我が国における代表的な辞典である広辞苑が『浚う・渫う』の意味を『川・井戸などの底にたまった土砂を堀りあげて除く』と説明していることなどを根拠に『スリット渫えナイフ』とは、スリット空間の少なくとも底面を最終的に形成するものであると主張する。しかし、本件明細書の上記記載によれば、本件特許発明の『スリット渫えナイフ』は、スリット空間内のいずれかの箇所(側面、底面)の土砂を浚うものであれば足るものであって、被告主張のように、これを、スリット空間の少なくとも底面を最終的に形成するものと限定して解釈すべき理由はない。被告の主張は、採用することができない」と述べている。

特許法の世界|判例集