東京高裁(平成5年4日)“自動販売機事件本件発明1の搬出口扉の構成について、特許請求の範囲の請求項1『前記商品搬出口に上端が軸支され、重心位置を前記商品取出口側に寄せるとともに前記商品シュートを滑落してきた商品が内壁面に沿って滑落できるように前記商品取出口側に湾曲して形成された前壁を有し、該重心位置を前記商品取出口側に寄せることによって生じるモーメントの作用により、商品の通過後に前記商品搬出口の前縁部に当接して該商品搬出口を塞ぐ搬出口扉』と規定している。このように、本件発明1の搬出口扉は、軸回りのモーメントにより商品搬出口を塞いだ状態を維持するものである」、「被告は、本件発明1の特許請求の範囲は『重心位置を前記商品取出口側に寄せるとともに前記商品シュートを滑落してきた商品が内壁面に沿って滑落できるように前記商品取出口側に湾曲して形成された前壁を有し』と規定するのみであるから『湾曲』形状とは『重心位置を商品取出口側に寄せる』ため、及び『商品シュートを滑落してきた商品が内壁面に沿って滑落できるように』する程度の『湾曲』形状という意味しかなく、それ以上の具体的な湾曲の形状・構造等について何ら限定されていない・・・・と主張する。しかしながら、本件発明1は、上記記載に続き『該重心位置を前記商品取出口側に寄せることによって生じるモーメントの作用により、商品の通過後に前記商品搬出口の前縁部に当接して該商品搬出口を塞ぐ』と規定しており、湾曲した搬出口扉は、軸回りのモーメントにより商品搬出口を塞ぐものであることは、上記のとおりであるから、本件発明1は、このような機能を有するものとして搬出口扉の湾曲形状等を規定しているものと認められる。したがって、被告の上記主張は、失当というほかはない」と述べている。

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