東京高裁(平成16年1月29日)“ルアー用トリプルフック事件”は、「比較される2つの発明の構成が同一であるときは、仮に、両発明の間で、技術思想、発明の目的、発明者が作用効果としているものが異なっていたとしても、構成において同じものである以上、2つの発明は発明として同一である。技術思想、発明の目的、発明者が作用効果としているものは、それが客観的な構成に結び付かない限り(例えば、当業者が予想し得なかった作用効果を持つことを新たに発見し、かつそのような作用効果を発揮する新たな用法のみに用いることを構成要件とすることにより、客観化することが考えられる。)、結局のところ、すべて主観的なものにすぎないのであり、主観的なものにすぎない以上、客観的な構成としては同じ発明につき複数のものが存在し得ることになる。もし、このような主観的なものにおける相違を根拠に両者を別の発明としてそれぞれに特許を与えることになれば、客観的には区別し得ない発明につき複数の特許が成立することになる。特許制度とは相いれないこのような結果を認めることはできないのである」と述べている。 |