東京高裁(平成16年2月19日)“地図表示方法事件”は、「特許出願に係る発明と先願発明との間の相違点が周知の手段の付加であり、その特許発明が奏する作用効果が、先願発明が奏する作用効果と前記周知の手段がもたらす作用効果との総和にすぎない場合には、前記相違点はいわゆる設計上の微差にすぎず、その特許出願に係る発明は先願発明に単なる周知の手段を付加したものであって、先願発明と『実質的に同一である』と解するのが相当である。相違点はあってもその相違点に係る両発明の差が設計上の微差にすぎず、作用効果にも顕著な差がない場合にまで、これらを別個の発明としてそれぞれに特許を認めたのでは、特許制度になじまないことになるというべきであり、このような場合には、それぞれの発明は、技術的思想の創作としては同一であると評価するのが相当である」、「本件において、先願発明に、最適ルートを表示する技術を付加することは、単なる周知技術の付加にすぎず、それによってもたらされる作用効果も格別のものということはできない。相違点2は設計上の微差にすぎないというべきである。訂正発明と先願発明とが実質的に同一であるとした決定の判断は正当である」と述べている。 |