東京高裁(平成6年27日)“合成樹脂製クリップ事件原告は、本件発明における『U字形』のバネとは、直線部分が平行になっているもののことであり、馬蹄形のバネや両端が広がるバネや両端部が狭まるバネを含まない、と主張する。しかしながら、本件明細書・・・・の特許請求の範囲には、本件発明におけるバネの形状については『U字形に折り返されて形成された合成樹脂製バネ』と記載されているだけで『U字形』バネに関して、・・・・その形状を具体的に規定する記載は見当たらない。また、本件明細書の発明の詳細な説明中にも『U字形』バネの語を直線部分が平行になっているバネを意味するものとして使用していることを示す記載はない」、「そうである以上、本件発明の特許請求の範囲における『U字形』の用語については、その有する普通の意味で使用されているものと解釈すべきである」、文献の記載に照らすと、ハンガーの技術分野においては、直線部分が平行であるものに限らず、折り返し構造を有するバネ一般を『U字状』バネと称しているということができる。本件全資料を検討しても『U字状』バネが、普通の意味において、専ら、直線部分が平行なバネをさす用語として用いられていることを認めるに足る証拠はない」と述べている。

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