東京高裁(平成16年3月17日)“機械式立体駐車設備付き建造物事件”は、「原告は、・・・・『立体駐車設備が設けられたボイド部は、もはや、採光及び通風を図るボイド部としての機能を有していないから、特にボイド部に立体駐車設備を設けたことによる格別の作用効果は認められず、本件発明の効果は、全体として・・・・引用発明・・・・及び上記周知技術から予測できる程度のものであって、格別顕著なものとはいえない』・・・・とした審決の判断は誤りであるとし、その理由として、本件発明が顕著な経済的効果を奏すること等を主張すると共に、本件発明の進歩性はその商業的成功等によっても十分に裏付けられる旨を主張する」、「しかしながら、原告が主張する、地下駐車設備を不要としたことによる建築コストの大幅な減少という経済的効果、駐車設備が人の目に触れない美しい建造物を創作する社会経済上の価値といった点は、原告も自認するとおり、本件発明の構成から当業者が直ちに認識できる効果であるにすぎない」、「本件発明の構成自体は、当業者が容易に想到し得るものであることからすれば、そうした本件発明の構成から客観的にみて予測し得る程度の効果については、これをもって本件発明の進歩性を根拠付けるものとみることはできないというべきである」と述べている。 |