大阪地裁(平成6年47日)“点検口の蓋の取付方法事件本件方法発明は、点検口の蓋の取付方法に係るものであるが、点検口は、シンクキャビネット・ガスキャビネットの背面の板部に設けられた開口部であり、本件方法発明を使用して点検口に蓋が取り付けられたとしても、蓋の取り付けられた点検口は、シンクキャビネット・ガスキャビネットの背面の一部分をなすにすぎず、・・・・したがって、本件方法発明は、物を生産する方法の発明ではないというべきである。本件方法発明は、その内容からして、単純方法の発明であるというべきである」、「原告は、点検口を備えるシンクキャビネット・ガスキャビネットの製造の過程において、本件方法発明の実施によって点検口に蓋を取り付けることにより、シンクキャビネット・ガスキャビネットが完成するし、その設置の過程においても、本件方法発明の実施によって蓋を取り付けることにより、据付けを終了するから、本件方法発明の実施は、特許法上の『生産』に他ならない旨主張する。しかし、本件方法発明に係る点検口の蓋の取付方法がシンクキャビネット・ガスキャビネットの製造、設置の過程に組み込まれていたとしても、本件方法発明はあくまでも点検口の蓋の取付方法を内容としており、シンクキャビネット・ガスキャビネットの製造方法、組立方法の発明ではないから、本件方法発明によってシンクキャビネット・ガスキャビネットが製造されるとはいえず、したがって、原告の主張は、採用することができない」と述べている。

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